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その他の廃墟

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「戦後詩」を終わったことにはさせない。無限の中を永遠に行く、有限のように。精神の廃墟から、渾身の第一詩集、84篇が誕生した。

「詩」は目的ではない、手段である。
「詩」はあくまでも義務として書かれた。私の死が永遠の義務であるのと同様のことだ。「詩」を書くために生きる必要などない。


「詩」は、精神の内陸地から海へ向けて吹く風のようだ。
大陸から空と海の境界線は見えない。水平線という了解はただ逃げてゆくばかりで、ひとに囚われることなどない。世界は存在しない、と言う者もある(マルクス・ガブリエル『なぜ世界は存在しないのか』)。
「無限」のなかをただ、「有限」が永遠に行く。
海と大陸との拮抗、きみが意味を怖れることなく、永遠を戦う有限であることを願う。そこには無限に繰り返された四十七億年の永遠が、ただ只管に打ち寄せるばかりだ。(本書「あとがき」より)



膨大なる「索引」を巻末に従えた84篇の詩篇は、古い時代の戦争や厄災をなかったことにしようとする者たちへの呪詛のように、その他の廃墟として、現在に出現したに違いない。

「晦渋」や「意味不明」の誹りを受けることも辞さない詩人の姿に、闇の中の光に照らされた「異形」を、われわれは読み解くことになるだろう。
コロナ禍の世界で、読まれるべき詩集。

目次
I 暗渠 その昏さ
 
月統/黄泉の傘(からかさ)/水盃/青海波(せいがいは)/川で死んだ/黒い踊り子/水の阿含(あごん)/儀目(ぎもく)/水平 


II 楽園の瑕
 
あの日曜日/犬のため息/監禁/風 イシュマエル/戦犯/音方/廃市/骨あるき/傘をさすプラトン/墓桜/鶏(にわとり)/風の明日(あした)/はらいそ七日/そんなはずはない/品物


Ⅲ 虚ろな祠

ふたり/深すぎた甕(かめ)/法因/褻翫(せつがん)/死虜/問えば髑髏/無人刑/別の人格(ペルソナリテ)/その他の廃墟(1)/その他の廃墟(2)/擬物


Ⅳ 地獄抄

蝉国/独雨(ひとあめ)/真理と実在/6時/セイレーン/死園/老犬譚/死晴/異形記/樺太記/沈むデスノス


Ⅴ 路の涯てるところ

たれと/春日井さん/外延の骨/帰郷/ジロー/夏の葉書/裏問/頭脈(づみゃく)/動物公園/海を考えるように/御供(ごくう)/滅霖/言霊矢(ことや)/そのわけ/盲空/夜刃(やいば)/マハトマ/鏡と広場/自画像


Ⅵ ruin of a fire

爆音(スラヴ)/肉体の左翼/和(なご)し/黒き軍(ぐん)/下駄箱/シャワー室/焚祀/木箱の骸(むくろ)


Ⅶ 此岸から

輪斬(わぎ)りの朝/人払/夏の収容/雨/縷々(るる)よ/不自然/慙羞(ざんしゅう)/定義と希望/太陽 切り離された首よ/沈む海/自死が


死と意味、その未了、そして詩へ(あとがきにかえて)


索引(著者による千を超える語彙が抽出されている)

著者:山内聖一郎(やまうち・せいいちろう)
1959年3月鹿児島県生まれ。県立鹿屋高等学校卒。詩人。卒業式を待たず東京へ出奔。建築作業員、バーテンダー、店員、 事務員など職を転々とする。現在は清掃作業員。 詩作歴は50年近いが、40代の時に精神疾患を患い、過去の作品 を全て破棄。本詩集はその後の作品から抽出し構成されている。

定価3,300円(本体3,000円+税10%)
ISBN 978-4-910260-01-3 C0092
B5判・並製・360頁
判型:B5
縦:257mm
横:182mm
厚さ:21mm

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